昭和9年から代々受け継がれてきた福島県の山小屋、吾妻小舎

福島県福島市の高湯温泉と土湯峠を結ぶ磐梯吾妻スカイライン。その中腹ほどにある浄土平は磐梯朝日国立公園の人気スポットとして多くの観光客が訪れます。その浄土平の観光拠点となる浄土平レストハウスから車で約3分ほどの距離に昭和9年に建てられた歴史ある有人の山小屋、吾妻小舎はあります。

東北に山小屋はあれど、その多くは避難小屋という扱いが多く、しかも有人の山小屋はそれほど多くありません。有人の山小屋として貴重な吾妻小舎は、昨年の2022年夏から新しい管理人である栗田純一さんが常駐しています。

2022年の夏から管理人を務める栗田純一さん

標高1,576メートルの位置にある吾妻小舎は麓の福島市の街中が30度近い気温のときでも、20度を下回るような気温になることもあり、夏の時期でも日によっては半袖では肌寒いくらいで、避暑地として訪れるのに最適。

その吾妻小舎の魅力はなんといっても、築90年近く、昭和の初期から福島の山の歴史を刻み続けてきた歴史を感じられる建物そのもの。

吾妻小舎の代々の管理人、そして吾妻小舎を長年使い続けてきたお客の方々が大事にしてきたことがわかる、月日の重厚さが建物から感じられます。

吾妻小舎のドミトリー(相部屋)エリアから撮影した様子

吾妻小舎の営業は磐梯吾妻スカイラインが開通する春から秋の時期。冬は真っ白な雪に閉ざされますが、吾妻小舎に降り積もる雪で屋根が潰れないように、雪下ろしに、これまで、代々の管理人や、吾妻小舎のお客の方々が浄土平まで雪山を登ってきているそうです。そうした山小屋を愛する方々がリピーターとなり今に至るまで山小屋は続いてきました。

雪下ろしに来た方々が温まるときに重宝する火力の強いコークスストーブ
吾妻小舎に宿泊された方々の記録が有志によって編纂されている吾妻小屋日記

これまで無事に年月を重ねてきた山小屋はただそこにいるだけで上質なものに触れているような満足感を与えてくれます。

個室部屋

吾妻小舎の宿泊スタイルは相部屋(ドミトリー)と個室の2つ。個室はツインルームになっていて1部屋限定です。(宿泊に関する予約、部屋の詳細、Q&A等は公式ホームページをご確認ください)

個室の入り口にはくつろぎスペースも

個室でゆっくりと落ち着くのもよし、ドミトリーエリアで他の方と交流を深めるのもよいのではないでしょうか。

また、吾妻小舎では築年数が90年近く経ってはいますが、水回りに気を配り、清潔感のある水洗のトイレやシャワールームの設置も2022年、2023年の間に少しずつ進めています。

清潔感のある水洗トイレ
導入途中のシャワールーム

吾妻小舎の周りは自然に囲まれているため、散策も気持ちが良いです。特に吾妻小舎から少し歩いた場所にある桶沼はブルー色のとてもきれいな沼で一見の価値あり。

自然が豊かな場所故に野生動物たちも生息しているため、熊鈴など携行のうえ散策を楽しんでみてください。

吾妻小舎から桶沼まで伸びる道には案内板も設置されている
晴れた日の桶沼。木々の緑と青色の水のコントラストが映える
桶沼の水は吾妻小舎や浄土平レストハウスの水源として利用されている
管理人の栗田さんおすすめの山、一切経山。桶沼から磐梯吾妻スカイラインの道路まで足を伸ばすとくっきりと見える
浄土平にある吾妻小富士も一見の価値あり
桶沼とは別方向だが、吾妻小舎の近くにある兎平野営場も雰囲気がある

吾妻小舎には来てみたいけれども、時間の都合で宿泊は出来ない方。そんな方には不定期で行っているカフェが開店していたら覗いてみるのもおすすめ。吾妻小舎は浄土平ビジターセンターからの散策コース「桶沼コース」の途中にあり、ビジターセンターから片道20分ほどの散策がてら吾妻小舎に立ち寄ることも出来ます。

不定期で開かれるカフェ

カフェでは珈琲やハーブティ、紅茶、ソフトドリンクなどがいただけます。屋内、屋外どちらにもイスが置かれているので、その時々の気分で場所を変えてみるのも楽しそう。

カフェスペース1
カフェスペース2
カフェスペース3
カフェスペース3の側にはアズマシャクナゲの姿も

福島の山の歴史を今もなお刻み続ける吾妻小舎。浄土平を訪れた際には訪れてみてはいかがでしょうか。

よかったらシェアしてね!
  • URL Copied!

この記事を書いた人

マーシー マーシー TOLM編集部

”東北のアウトドアの魅力を発信したい!”とノリと勢いだけでTOLM(東北アウトドアライフスタイルマガジン)を立ち上げた張本人。
広大な東北の地でアウトドアな生活を行っている人達に出会いに行くべく、日々車を走らせている。

目次
閉じる