飯豊の山、水、そして人。喜多方で紡がれる酒の文化【福島県喜多方市】

会津盆地の北に位置し、三方を山に囲まれたまち・喜多方市。日本三大ラーメンのひとつ、喜多方ラーメンが広く知られているが、人口約4万人のまちには11の酒蔵があり、福島県内でも有数の酒どころとしての顔を持つ。

その背景には、飯豊連峰などからの雪解け水が伏流水となって流れ込む恵まれた自然環境がある。水に恵まれた土地は、酒だけでなく、味噌や醤油といった醸造業も発展させてきた。

そんな喜多方をふらりと訪れた、夏のある日。真夏日らしい暑さのなか、車を走らせていると「北方風土館」と書かれた看板が目に留まった。気になって立ち寄ったのが、大和川ミュージアム四方(旧・北方風土館)だ。

ここは、老舗酒蔵「大和川酒造店」がかつて酒造りに使っていた蔵を一般公開した施設。江戸時代中期の寛政二年(1790年)に創業した酒蔵の歴史を、当時の建物や資料を通じて感じることができる。

展示蔵は全部で三つ。建てられた時代ごとに「江戸蔵」「大正蔵」「昭和蔵」と名づけられている。

  • 江戸蔵 … 酒造りに使われた桶や酒舟、瓶などの道具を展示。
  • 大正蔵 … 大和川酒造の商品や酒造りへの取り組みを紹介。
  • 昭和蔵 … コンサートや講演など、多目的なイベントスペースとして活用。
江戸蔵
大正蔵
大和川酒造の酒造りへのこだわりを知ることが出来る大正蔵の展示
昭和蔵

展示のほか、試飲・販売コーナーや2階のカフェスペースもあり、酒蔵をめぐる楽しみが広がる。試飲エリアでは、大和川酒造の日本酒をいくつか味わえるだけでなく、仕込みに使う水を試飲することもできる。まさに「酒造りの軌跡をたどり、完成した酒を味わう」という体験だ。

試飲・販売スペース
試飲スペース
大和川酒造で使用する水の試飲場所
大和川酒造では棚田を守る取り組みも行っている

訪れたこの日は、カフェのテラス席で景色を眺めながら甘酒を一杯。室内・テラスともにゆったりと過ごせる空間で、ドリンクやスイーツ、日によってはランチも楽しめるという。酒どころ喜多方の歴史と恵みを、五感で堪能できる場所だった。

カフェスペースは2階に
注文した甘酒
テラス席からは赤レンガが印象的な喜多方下町郵便局が見える

大和川ミュージアム四方(旧:北方風土館)
住所:〒966-0861 福島県喜多方市寺町4761
WEB:https://www.yauemon.co.jp
Instagram:https://www.instagram.com/cafe_tenkukairou/

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この記事を書いた人

マーシー マーシー TOLM編集部

”東北のアウトドアの魅力を発信したい!”とノリと勢いだけでTOLM(東北アウトドアライフスタイルマガジン)を立ち上げた張本人。
広大な東北の地でアウトドアな生活を行っている人達に出会いに行くべく、日々車を走らせている。

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