岩手県九戸郡九戸村で高級純朴家具や伝統工芸の南部箪笥を造り続けるマルイ造形家具工業。この会社では2020年12月にアウトドアブランド、A&D/W(エーアンディーダブル)を立ち上げ、釘を使わずに組み立てが簡単に出来る木製七輪囲炉裏の販売を契機に、意欲的なアウトドア家具商品を次々に展開しています。今回はその取り組みを伺いました。
アウトドアブランドA&D/Wを立ち上げたマルイ造形家具工業の歴史
始めにマルイ造形家具工業のこれまでの歩みをお聞かせください。
マルイ造形家具工業は祖父の代に建具屋(戸や障子、襖などを作るところ)として始まりました。
その後、時代のニーズに合わせて1本の木材から作り上げる純朴家具や伝統技術を受け継ぐ南部箪笥作りをしています。
また、2010年代前半頃からはライフスタイルの変化から徐々に南部箪笥の需要が少なくなっていきまして、和風、洋風、カジュアル、フォーマルなど様々な生活様式で楽しんでいただけるダイニング火鉢を販売するようになりました。
アウトドアブランド立ち上げのきっかけ
家具や箪笥を造り続けてきた御社がアウトドアブランドを立ち上げたきっかけは?
コロナ禍によって箪笥や家具の主な売り先になっていた百貨店での催しが中止や延期になってしまったことがきっかけです。
それでこれまでとは違う商品を作って販売しなければいけないと考えるようになって、試作で作り始めたのが七輪囲炉裏です。
この七輪囲炉裏は、元々私自身が外遊びや釣りが好きで、いつかアウトドア向けの商品を作ってみたいと思っていたことと、父が昔仕入れて遺してくれたオノオレカンバを使って何か出来ないかと思っていたことから発想を得ました。
それから色々と試作品作りをしていた時、元々付き合いのあった銀行の支店長から東北D2Cアワード、IWATE FOOD&CRAFT AWARDなどのコンテストがあるから応募してみたらと言われて、試作していた七輪囲炉裏を試しに応募してみたんです。そうしたら審査員の方々から賞をいただくことが出来まして。
これはチャレンジしてみる価値があると思い、賞をいただいてから1か月後にはアウトドアブランド、A&D/Wを立ち上げました。
木材に特化した商品づくり
アウトドア向けの商品というと様々な素材がありますが、御社のアウトドア向け商品のラインナップを拝見すると全て木材のみで作られています。
アウトドア向けの商品を作る企業は多数あります。
アルミや鉄、その他の金属加工に長けている様々な企業とアウトドアという土俵で競っていくためには私たちが長年取り扱ってきた木材で勝負しなければならないと思いました。
また、それに加えてこれまで木材を最大限に活かした商品を社員とともに作り上げてきた自信もあったので、木材で勝負したいという気持ちもありました。
A&D/Wの第一弾商品として販売されている七輪囲炉裏は当初材質がオノオレカンバのみでしたが、現在ではカリン材やナラ材のものも取り扱っています。
父がいずれ私たちの財産になるからと遺してくれたオノオレカンバは、傷がつきにくくハードな使い方をしても耐えてくれる正にアウトドアで使われるためにあるような材木ですが、木材市場に出てくることは滅多にありません。
また、材木として扱うためには天然乾燥で数年かかる場合があります。
そのため、オノオレカンバと同じように硬く、傷がつきにくい木材を厳選し使用しています。
どの素材にも良さがあるのでぜひ色々と味わってもらえればと思います。
A&D/Wの今後の展開について
七輪囲炉裏が各方面で話題を呼び、入荷待ちになっている商品もありますが、今後はどのような商品を展開されていくのでしょうか?
A&D/Wの第一弾として取り扱ったのが七輪囲炉裏。次に第二弾としてソロキャンプ向けの商品作りを行いました。
今、第三弾や第四弾の商品も構想中で、焚火関連の商品や七輪囲炉裏を変化させたようなものを考えています。
いずれにしろ、お客様に私たちがこれまで南部箪笥作りで培ってきた指物技術などの伝統を感じて楽しんでもらえたら嬉しいですね。
ありがとうございました!
会社情報
■会社名:株式会社マルイ造形家具工業
■住所:〒028-6502 岩手県九戸郡九戸村大字伊保内11-13
■A&D/W公式サイト:https://adw-furniture.com/
■A&D/Wショッピングサイト:https://adw-furniture.com/collections/all
■問い合わせ先:①0195-42-3031(電話)、②A&D/W公式サイト問い合わせフォーム
■twitter:https://mobile.twitter.com/shichirinirori8
■instgram:https://www.instagram.com/shichirinirori/
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