冬に欠かせないアイテム、ダウンジャケット。実はメイドインジャパンとして作られている数は少なく、ダウンウェアを製造する会社は日本に数十社しかありません。その一つが岩手県宮古市にある、有限会社クラスター。この会社で2021年に販売するユニークなダウンジャケットを小林晃社長へのインタビューを交えてご紹介します。
ダウンジャケットを作り始めたきっかけ
有限会社クラスターは元々婦人服を作る会社として創業し、ダウンジャケットを手掛けるようになったのは2005年頃だったと3代目社長の小林社長は言います。
「元々婦人服を手掛けていた当社がダウンジャケットを作るようになったのは、知人からダウンジャケットメーカーの製造を手伝ってみないかと誘われたのがきっかけです。」
誘いをきっかけにダウンジャケットメーカーからの製造依頼を受けるようになった有限会社クラスター。会社としての取り扱いもダウンジャケットの割合が徐々に増え、今では製造の大半をダウンジャケットが占めます。
コロナ禍によって挑戦を決めた自社ブランド「Hayachine Made(ハヤチネ-メイド)」の立ち上げ
ダウンジャケットメーカーの製造依頼を請け負っていた会社が、自分たちのブランドを作ろうと思ったきっかけはコロナ禍だと言う小林社長。
「コロナ禍によってダウンジャケット製造の依頼はかなり少なくなりました。このままでは工場が立ち行かなくなるという段階まで来ていた時に声をかけられたのが”イワテメイドアパレルプロジェクト”です。」
イワテメイドアパレルプロジェクトは岩手県が主催するプロジェクト。県内の縫製工場を支援する目的で始まったプロジェクトは公募制で、有限会社クラスターも応募をしたところ採用されたといいます。
「元々私たちはメーカーからの受注を受けてダウンジャケットやコートを製造してきましたが、世に出た商品に私たちの名前はつきません。それで良いと思っていた時期もありましたが、プロジェクトを知って、自分たちがこれまで培ってきた技術や経験を詰め込んだ、これを自分たちが造っているんだと世の中に胸を張って言える自社ブランドを立ち上げたいという気持ちが湧いてきました。」
立ち上げたブランドの名前は「Hayachine Made(ハヤチネメイド)」。小林社長が会社に出勤する際いつも見える早池峰山(はやちねさん)がブランド名の由来です。
「出勤する時、5分くらい早池峰山が見えるんです。その5分間にいつも元気をもらっていて。つらい時や大変な時も、春夏秋冬装いを変える早池峰山を見ると、もう少し頑張ってみるかという気持ちになるんです。」
いつも変わらずにある雄峰・早池峰山への想いを語った小林社長。アパレルプロジェクト担当者と試行錯誤を繰り返し、出来上がったのがTHE AUTHENTIC DOWN JACKET。表面、裏面、ダウンの中身に撥水加工を施した「トリプル撥水」が自慢の一品です。
ビジネスユースを想定した作りのTHE AUTHENTIC DOWN JACKET。使いやすいよう背裏面には大口型のポケット、左右の前身頃には貴重品、携帯電話用に3つのポケットが配置されており、着丈もジャケットが隠れるくらいの大きさです。
今回はビジネスユースを想定した製品作りだったことから、フードを付けない製品にしたとのこと。しかし、今後色々なチャレンジをしていきたいと言います。
「アウトドア用のダウンジャケット作りにもチャレンジしてみたいですね。例えば難燃素材を使った焚き火用のダウンジャケット作りなども面白いんじゃないかと思っています」
お客様の声を受け取る場所としてのECサイト
小林社長が今年の大きな目標としているのはECサイトの立ち上げ。7月~8月ごろの公開を予定しているサイトではユーザーニーズを出来る限り救い上げるものにしたいと言います。
「ECサイトではダウンジャケットの販売を想定しています。そこではオプションで色々な要望に応えられるようにしていきたいですね。オプションの詳細はまだ決めていませんが、お客様一人ひとりに喜んでもらえるものにしたいと思います。」
技術的には、冒険家が極寒の地で使用するような極暖の作り(ダウンジャケット内部のダウンパックをツイン状にする等)にも対応可能とのことなので、その技術がどのようにオプションとして反映されるのか今から楽しみです。
□□□□□□□
有限会社クラスター
岩手県宮古市千徳第13地割50番地
TEL:0193-64-4535
□□□□□□□
※記事情報については取材当時のものとなります。現在の情報と異なる場合がありますので、予めご了承願います。