とある日。山形県高畠町にあるカフェ、Le ombrage – ル・オンブラージュで幸林工芸の佐藤健一さんと取材の待ち合わせをした。
このカフェで木工展を開いているとのことで、素敵なカフェもご紹介したいとお誘いをいただいたからだ。
Le ombrage – ル・オンブラージュの入り口のドアを開けると、まず目に飛び込んでくるのが白色の壁と大きな古い窓。レトロガラス特有の歪みのある古い窓からは木漏れ日が穏やかに差し込んでいる。
佐藤さんは、お箸やカトラリー、孫の手といった製品を道の駅で販売することをメインにしつつ、依頼に合わせたオーダーメイドの製品作りや、イベントや展示会などに木製品を出展している方。
オーダーメイドの製品作りは、依頼者との間で試行錯誤を行い、長い時には1年の期間をかけて出来上がるものもあるそうで、そうして作られた木製品達は目を楽しませてくれると共に、実用性にも富んだ製品となっている。
また、イベントや展示会に出展される際は、その場に馴染むような木製品のチョイスして陳列を行う。今回は展示会場となったLe ombrage – ル・オンブラージュに合わせる形で、日常生活のお供になる、お箸やナイフ、スプーン、カップ、まな板、お皿などが窓際の棚に並べられていた。
佐藤さんの家は昭和の時代から木製品を取り扱うお店を営んでおり、昭和30年「佐藤木工所」として佐藤さんの父「幸吉」さんが始めた。
当初は、米沢市内のこけし工人に、木地を納めるところから始まり、その後、茶筒・お盆・菓子器といった日用品の製作も行うように。そして、昭和40年後半、現在の名前である「幸林工芸」と屋号を改めて現在に至る。
2代目となる佐藤さんは、全国様々な場所へ行き、修行を行い、試行錯誤を加え、時には自身で木製品の素材となる木々の伐採も行いながら様々な木工製品を作り続けている。
目には見えてこないところですが、これまで色々な失敗をしてきて、それが今の作品作りに繋がっていると、佐藤さんは笑顔を浮かべながら語ってくれた。
そんな佐藤さんの元には木材の活用について様々な相談事が舞い込む。そうした依頼を楽しみながらやることで次のアイディアの源泉になるという佐藤さん。
その瞳には、めまぐるしく変わる現代の生活様式が今後も変わっていったとしても、職人として生きていけるという静かな自信が伺えた。
佐藤さんはこれまでに学んできたことを次世代にも伝えていきたいという想いも語ってくれた。
それは、これまで出会ってきた業界の先輩方から言われた、自分に恩を返すのではなく、次の世代に同じことをしてあげてくれという言葉がずっと心に残り続けているからだという。
そうした職人の誇りとプライドを持った方々の製品の良さを楽しむためには、実際に見て触ってみるのが一番だと個人的に思う。
筆者自身も佐藤さんの製品を実際に見て触って、フィーリングが自分に合ったバターナイフを購入して使用している。
ナチュラルな風合いを生活に取り入れたい方へおすすめしたい佐藤さんの製品は、イベントの出展時や、販売店で確認が出来る。
イベントへの出展情報や販売店情報については、公式ホームページやインスタグラムページで確認出来るので覗いてみて欲しい。
幸林工芸
HP:https://kourin.jpn.com
販売ページ:https://kourinkougei.thebase.in
Instagram:https://www.instagram.com/kourin325/
Le ombrage – ル・オンブラージュ
Instagram:https://www.instagram.com/leombrage.takahata/