福島県の沼尻温泉で行われている「エクストリーム温泉」って何?気になって体験したら最高だった!

日本全国、津々浦々、様々な場所に温泉地があるほど、日本は温泉に恵まれた場所ですが、そんな日本で唯一「エクストリーム温泉」と名付けられた温泉体験が出来る沼尻温泉をご存知ですか?

今回はその温泉地で行われている「エクストリーム温泉」を体験してきたので、その様子をご紹介いたします。

目次

沼尻温泉はどんなところ?

沼尻温泉は江戸時代に開湯し、200年以上の歴史を誇る福島県猪苗代町の温泉地で、標高約850m程に位置し、周りを安達太良山、磐梯山、西吾妻山に囲まれたロケーションにあり、日本に現存する最古のスキー場とも言われ、大正4年(1915年)から営業を続ける沼尻スキー場や、女性で世界初のエベレストの登頂に成功した福島県出身の登山家、故・田部井淳子氏がオーナーを務めていた「沼尻高原ロッジ」(現在は会津・芦ノ牧温泉大川荘が名称をそのまま継承し、2019年11月からリニューアルオープン)などもある場所です。

沼尻高原ロッジには田部井氏ゆかりの品が飾られている

体験の主催者であるnowhereとは

今回ご紹介する「エクストリーム温泉」の主催者であるnowhereは『アウトドアを通じて旅がもっと楽しくなる』をテーマとし、沼尻温泉周辺を舞台としてアウトドアアクティビティを提供する団体で、沼尻スキー場の旧レストハウスをリノベーションした管理棟では、キャンプ体験やアウトドアアクティビティの受付の他、地域の厳選食材を生かしたメニューを提供するカフェやショップも運営されています。

管理棟外観
開放感あふれる場所でのグランピング体験も実施
管理棟内の様子
電動アシスト付きマウンテンバイクでマウンテンバイクコースを体験可能
管理棟内のショップスペース1
管理棟内のショップスペース2

エクストリーム温泉って?

前口上が長くなりましたが、実際に私が体験したエクストリーム温泉についてご紹介していきます。

今回の体験の肝となる「エクストリーム温泉」は、安達太良山の中腹、標高約1300メートルに位置する沼尻元湯(毎分1万3400リットルという単一の源泉としては日本一の湧出量を誇る沼尻温泉の源泉)が川に流れ込んで出来る野天風呂に入浴する体験です。

源泉近くはとめどなく湯が流れている
場所によっては滝になっているところも

体験では、集合場所となるnowhereの管理棟から安達太良山の沼尻登山口まで車で移動し、その後はガイドの方々に同行いただきつつ、登山道を歩きながら沼尻温泉の源泉を目指します。

源泉の場所までは1時間かからない程度で、プチ登山気分を味わうことが出来ました。

エクストリーム温泉体験をサポートしていただいたガイドの方々
沼尻元湯までは安達太良山の沼尻登山口ルート辿りながら行く
安達太良山、沼尻登山口を歩く途中で見える白糸の滝
天気が良い日には登山道から吾妻連峰も見ることが出来る
木漏れ日の中を歩く
写真奥、安達太良連峰を形成する山の1つ、鉄山へと続く尾根が見えた
登山道の分岐点で鉄山へと向かう道の眼下には硫黄川と源泉を流す引湯管が伸びる光景が広がっていた

歩くこと、1時間。ついに、エクストリーム温泉体験の目的地である、野天風呂に到着!

そこには、岩の茶色と山の緑、空の青、やや青みがかった乳白色の温泉川のコントラストが何物にも変え難い景色が広がっていました。岩が周囲からの目線を隠し、まるで自分たちだけの隠れ家のような特別な空間に演出してくれます。

段々になっている滝の奥には数人が一度に入れる空間がある
野天風呂の近くは足湯も可能

野天風呂に到着した後は、しばし自由時間。その間に、ほっと一息つけるお茶をいただきます。

出されたお茶は、ひし茶。

あまり、聞いたことがなかったのですが、池や沼、湖などに生える水草、菱(ひし)の種を乾燥させ、焙煎したものをお茶にしたものだそうで、今回出されたものは、猪苗代湖で採取された菱を使用しているとのこと。

初めて飲む味でしたが、やや漢方のような味わいで個人的には好きな味でした。

今回は環境美化活動もセットになったエクストリーム温泉プランを体験

今回筆者が申し込んだプランは、エクストリーム温泉×環境美化活動というもので、上記のエクストリーム温泉に加え、昨今の安達太良山の登山道の劣化の問題やツアー中の自然環境の変化に伴い、Leave No Traceという環境倫理プログラムに基づき、環境美化活動とは何かを考える内容が盛り込まれた内容を体験することが出来ました。

例えば、人が山にペットボトルや空き缶などを置いてしまうと、理論上分解されるまでにどれくらいの時間がかかるのか?その答えを考えてみてくださいという宿題がツアーの始めにあったのですが、その答えをツアーの終わりに聞いた時、その時間の長さに驚きました。

ちなみに、ペットボトルは分解されるまでに500年程度かかるそうで、日本の歴史に当てはめれば、室町時代まで遡るほど。そう考えてみると何気なく登山道などに捨てられたゴミが環境に与えるインパクトはとても大きいということがわかります。

ツアー開始直後の様子

また、ツアーでは、沼尻元湯の源泉を里へと引いてくる数キロにわたって通されている引湯管の老朽化問題にも話がおよびました。

温泉成分の強い湯を通す引湯管は老朽化しやすく、老朽化しゴミになったものを里へと下ろすのも一苦労だと言います。

そのため、一部は放置されているような状況になっていることもあり、使われなくなった引湯管をどのようにして回収し、かつ、ただ処分するのではなく、自然との共生を考える形でアップサイクルを行い、商品販売に繋げていくかを今後考えていくと話をしてくれました。

その取り組みは、ヒマラヤで行われている、山のごみを集める仕組みと、そのゴミを観光客へのお土産へと変えるプロジェクトを参考にしているそうで、今後の取り組みが楽しみです。

エクストリーム温泉と環境美化活動の締めくくりは軽食

筆者が申し込んだツアーの締めくくりは軽食タイム。軽食は、沼尻高原ロッジでいただきました。

そこで出された食事が、もう豪華すぎて、これ軽食じゃないですよね?と思わず二度見。

下の写真をみてください。

これどう考えても軽食じゃないですよね?どこからどうみても立派なランチじゃないですか!

お話を伺うと沼尻高原ロッジのシェフが作ってくれたランチとのことで、予想外のことに筆者や、他の参加者の方々も大興奮。

一つ一つの食事が体に染み渡るようで最高でした♪

おしながきのあるランチ。なんて贅沢!

体験を終えて

食事の後は沼尻高原ロッジの入浴施設も利用させていただき、プチ登山から野天風呂体験、お食事、温泉入浴と大変贅沢な日を過ごすことが出来ました。

ちなみに参加当日は、日本全国で猛暑日も記録するほどの暑さでしたが、標高が高い場所での体験だったことから、ほとんど暑さを感じずに過ごすことが出来ました(沼尻元湯は標高約1,300メートルほどなので、海抜0メートルの場所と比べると場合によっては7度〜8度異なる)。

エクストリーム温泉の実施状況については、公式ホームページで確認が出来るので、興味がある方は覗いてみてください♪

【注意!】エクストリームな温泉体験には安全管理が必須

今回、エクストリーム温泉をご紹介させていただきましたが、実際のところ、沼尻元湯へは、登山道を歩いていけば行くことが出来ます。

しかし、沼尻元湯は有毒ガスである硫化水素の濃度が高い場所もあるため、意図せずに危険な場所に足を踏み入れてしまう可能性も。ガスには強い毒性があり、場合によっては即死の危険性もあります。

高濃度の硫化水素かどうかは嗅覚で判断がつかず、また無色でもあるため視覚でも判断が出来ません。唯一濃度を確認するためには携帯型のガス検知器等が必要になります。

エクストリーム温泉は、そうした危険性をきちんと認識しつつ、大自然の恵みを安全に体感できる体験となっていますので、リスク管理の観点からツアーを利用されることをお勧めします。

詳細

nowhere
営業時間|月、金、土、日、祝10:00~16:00 (Food 14:00 Drink16:00.L.O)
定休日|火曜・水曜・木曜
住所:〒969-2752 福島県耶麻郡猪苗代町大字蚕養字沼尻山甲2864
HP:https://www.numajiri-lodge.com/nowhere/
Instagram:https://www.instagram.com/nowhere_numajiri/
Facebook:https://www.facebook.com/nowhere.cafeandactivity/
X:https://x.com/nowhere_numa

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この記事を書いた人

マーシー マーシー TOLM編集部

”東北のアウトドアの魅力を発信したい!”とノリと勢いだけでTOLM(東北アウトドアライフスタイルマガジン)を立ち上げた張本人。
広大な東北の地でアウトドアな生活を行っている人達に出会いに行くべく、日々車を走らせている。

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